雲南省の山地生活。
雨後の院子(中庭)のあのぬかるみの汚さ。
それを少しも感じない豚や羊との共生に、さすがに辟易させられる。
長姉・英英(10歳)が、
穴のあいたゴム長靴のなかにこびりついた泥の塊を長い刀で取り出す・・・
木の枝を思い斧で薪にする・・・
妹の体に住み着いている虱をとる・・・
村娘に首元をつかまれても、それなりに言いかえす・・・
随所にいじらしいシーンが繰り出される。そして間断なくおきるぜんそく気味の咳が不憫さを助長する。
実に重苦しく、戦後間もない我が幼少の頃の思い出、そして現代中国の抱える諸問題、いろいろ考えさせられる作品だ。
お陰で、どっぷりと映画の中に入り込んでしまい、映画が終わって時計を見れば、なんと2時間半もの長編ドキュメンタリーだった。
あまりにも過酷な生活ぶりに、なぜもっと住みやすい土地へ移住しないのかと、映画を見ながら自問自答をしていた。
恐らくこの映画の縦糸は、貧困、貧民をClose upした、いわゆる政治の格差問題を提起しているのではないと思う。人間の住む土地を選ぶ自由、人間の尊厳を描き出しているのであろう。
また、最後の最後になって、海抜3200mとの字幕に、それほどの高地だったのかと初めて知らされ、驚いた。
そんな過酷な高地に辿りつきそこを住処とするのも、人間の尊厳(宿命?)のひとつかと思い到るのであった。
欲を言えば、皮マントをかぶり羊を誘導する場面とか、所々に降った雪が解けずに残っているシーンより、そこそこの高地だとは思ったが、寒さまではなかなか映画館の中の観衆には伝わってこなかったのが残念である。
導演(Director)は、王兵 1967年 陝西省西安の生れ
参考までに、この映画のコメントあり
http://intro.ne.jp/contents/2013/05/11_1855.html
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