敦賀の気比の松原を散策していると、
ふと勝海舟の漢詩碑に目が留る。
あれっ?! どうして、こんなところに勝海舟が???
碑文の下に、敦賀市教育委員会による説明看板あり。
1991年(明治24)の秋、この松原を訪れた海舟は、明治天皇が1878年(明治11)10月の北陸巡幸のおりこの松原を訪れていたことを知り、詠んだ詩句であるとのこと。
辛卯仲秋 勝海舟安房
曾經駐輂處 かって輿を留められたところ
黎首憶甘棠 庶民はその善政を嬉しく思う
松籟如奏曲 松風は奏でる音楽のようで
海濤和洋洋 波も和み洋々としている
*甘棠:周代の召公がかって甘棠(ヤマナシ)の木の下で休んだいたことより、人民がその甘棠を大切にしたという故事を踏まえた典拠。
善政を行う人に対する尊敬と親愛の情が深いことの意。
海舟こと勝安房の漢詩を特段研究している訳ではないが、難語、典拠を多様する嫌いあり。そして頭のなかだけで詠む詩歌の特徴である、いわゆる衒いが匂う。
本人もこの種の文芸は得意でなく、それほど好きではないと言っていたらしいが、確かに未熟の感あり。
その点、南洲氏こと西郷隆盛の心からほとばしる詩歌にはとても叶わないであろう。
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